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OpenAI Codex

この記事の目的

OpenAI のコーディングエージェントコードベースを読み、ファイルを編集し、コマンドを実行して検証するループで開発タスクを遂行する Agent。コード補完と異なり「タスク単位の委任」を受けられる。 Codex の製品構成(CLI / IDE 拡張 / クラウド / コードレビュー)・サンドボックスモデルが生成したコードの実行やコンピュータ操作を、本番システムから隔離された使い捨て環境(ネットワーク・資源制限付き)で行う仕組み。モデル・データ取り扱いを理解し、自分のチーム・用途に合うかを判断できるようになります。

対象読者

  • コーディングエージェントの候補として Codex を評価しているエンジニア
  • ChatGPT を組織契約済みで、開発ワークフローへの展開を検討しているチーム

前提知識

本文

最終確認日: モデルと認証別の退役・置換先は 2026-10-08、カスタムプロバイダーの接続条件は 2026-10-03、AGENTS.md の読込上限、permission profiles・Auto-review は 2026-09-10、他の製品仕様・提供形態は 2026-08-18 — 部分更新です。主な出典は「参考資料」を参照してください。

概要

Codex は OpenAI のコーディングエージェント製品群です。まず名称の注意から: 「Codex」という名前は 2021 年のコード生成モデル(非推奨化済み)にも使われていました。2025 年以降の Codex はエージェント製品の名称であり、別物です。古い記事・知識と混同しないでください。

2026 年時点の Codex は単一製品ではなく、同じエージェントを複数の面で提供する製品群です。5 分類(全体像)では、ターミナル型(CLI は OSS)・IDE 統合型・クラウド実行型・GitHub 連携型のすべてに面を持ちます。特徴は次の 3 点です。

提供形態と実行環境

面内容実行場所
Codex CLIターミナルの対話型エージェント。OSS(Apache-2.0、Rust 製)ローカル
IDE 拡張VS Code 系(Cursor・Windsurf 含む)+ JetBrains。クラウドタスクの委任・監視も可能ローカル
デスクトップアプリ統合ドキュメントでは「ChatGPT desktop app」表記。macOS / Windows に加え、Linux 版が 2026-08-11 に preview(Ubuntu / Debian / Fedora)。並列スレッド・git worktree・定期実行ローカル
Codex cloudOpenAI 管理の隔離コンテナでタスク実行、PR として提出クラウド
コードレビューPR コメントで @codex review、または全 PR 自動レビュークラウド(GitHub 連携)
GitHub Action / codex exec / SDKCI・自動化用の非対話実行、TypeScript / Python SDKCI・任意
Slack / Linear 連携メンションからクラウドタスクを起動クラウド
  • 対応 OS は macOS / Linux / Windows です
  • このほか Chrome 拡張・App Server も提供面として統合ドキュメントに正式掲載されています(2026-08 時点)
  • クラウド実行は 2 フェーズ構成です: セットアップフェーズ(依存取得のためネットワークあり)→ エージェントフェーズ(既定でオフライン。ネットワークは明示的に有効化)。ローカルとクラウドで権限モデルが異なる点は導入時の確認事項です

リポジトリ理解・編集・実行の仕組み

設定ファイルとカスタマイズ

  • ルールファイルは AGENTS.md(オープン標準)。探索順はグローバル(~/.codex/)→ Git ルートから現在ディレクトリへ階層ごとに連結され、近いファイルほど後に読まれて優先されます。AGENTS.override.md による上書き機構もあります
  • 設定は ~/.codex/config.toml(個人)と .codex/config.toml(プロジェクト、信頼済みプロジェクトのみ)。.codex/ に config.toml・rules/・skills/ をコミットしてチーム標準化する方法が公式に案内されています
  • 組織は requirements.toml を配布して、ChatGPT 認証のローカル各面(アプリ / CLI / IDE)にポリシーを強制適用できます(許可するサンドボックスモード・承認ポリシーの制限など)
  • フック・プラグイン・スキル・サブエージェント(config.toml の [agents])の拡張機構があります

権限管理とセキュリティ

ローカルコマンドのファイル・ネットワーク境界と、境界を越える操作の承認を分けて設計します。次の表は従来の sandbox 設定です。

軸選択肢
サンドボックスモード(ファイル・ネットワーク境界)read-only / workspace-write(既定。ワークスペース内の読み書き・実行可、外部とネットワークは承認要)/ danger-full-access
承認ポリシー(いつ承認要求を出すか)untrusted(安全な読み取りのみ自動)/ on-request / never

2026-09-10 の公式文書は、権限プロファイル(permission profiles、beta)も案内しています。

  • default_permissions で組み込みの :read-only / :workspace、または [permissions.<name>] に定義したプロファイルを選びます。旧 sandbox_mode / sandbox_workspace_write と併用して設定を合成する仕組みではありません
  • 読み込まれる設定や --sandbox に旧モードがあれば、通常は旧設定が優先します。管理者の allowed_permission_profiles がある場合は例外で、プロファイルが強制されます。導入前に旧設定を除去し、組織の混在バージョンは 0.138.0 以降へ揃えます
  • permissions.<name>.network.enabled は通信可否、features.network_proxy はドメイン規則の強制を制御します。通信だけを有効にしてプロキシを無効のままにすると、プロファイルのドメイン制限は適用されません。この境界はローカルコマンド用で、MCPツールやデータソースを LLM アプリケーションに接続するための標準プロトコル。概要は ツール使用、接続の実務は ツール接続標準(MCP とエコシステム)・コネクタ・ブラウザ・クラウドには各機能の制御が必要です

Auto-review は、承認要求の判断を別のレビュアーエージェントに渡します。on-request 等で承認要求が生じる場合に働き、既に許可された通常操作を毎回検査する仕組みではありません。never ではレビューする要求がなく、full access で境界を外した操作の安全も保証しません。

  • ローカルサンドボックスの実装は macOS = Seatbelt、Linux = bwrap + seccomp、Windows = ネイティブ実装あり(または WSL2)です
  • ネットワークは既定オフです。workspace-write でも明示的に有効化しない限り外部通信できません。権限とセキュリティ の「デフォルト拒否」原則が既定で体現されている構成です
  • エスケープハッチ(--yolo 等)は公式自身が Elevated Risk と明記しています。使うなら隔離環境限定です
  • データ学習の既定はプランで異なります: 個人プラン(Free/Go/Plus/Pro)は ChatGPT のトレーニングデータ設定に従い、学習に使われる場合があります(オプトアウト可。加えて Codex 独自の環境学習許可設定あり)。Business / Enterprise / Edu / API は既定で学習に使用しません。Enterprise は ZDR(Zero Data Retention)対応です
  • 別機能として Codex Security(リポジトリの脆弱性スキャン)があります。エージェント本体のサンドボックス文書と名前が紛らわしいため区別してください

外部連携(MCP・CI・API)

  • MCP クライアント: STDIO と Streamable HTTP に対応(CLI と IDE 拡張で公式明記。クラウド実行時の対応は未確認)。codex mcp add または config.toml で追加します
  • Codex 自身を MCP サーバーとして公開する機能、ファーストパーティの Web 検索ツールも提供されています
  • GitHub 連携: @codex review メンションによる PR レビュー(P0/P1 の問題に絞る方針で、変更ファイルに最も近い AGENTS.md のレビューガイドラインに従います)、GitHub Action による CI 組み込み
  • SDK: TypeScript(Node.js 18+)/ Python(3.10+)。スレッド再開・サンドボックスレベル指定が可能です

チーム導入と提供プラン

2026-10-08 の公式モデル一覧は、利用可能な場合に複雑な作業へ GPT-6.1 Sol、範囲の明確な反復作業へ GPT-6 Luna を案内しています。GPT-5.6 Sol / Terra / Luna は展開中も提供されています。利用可能性はプラン・認証方式・クライアント・管理者設定に依存するため、保存済み設定・カスタムエージェント・定期実行のモデル ID を確認します。

ChatGPT 認証の Codex では gpt-5.4 / gpt-5.4-mini が 2026-08-31 に提供終了しました。2026-10-08 の公式置換案内は、利用可能な場合にそれぞれ gpt-6-sol / gpt-6-luna です。Enterprise / Edu の Luna は管理者による有効化が必要です。OpenAI API と API キー認証の Codex はこの退役の対象外です。

GPT-5.5 は 2026-10-14 に ChatGPT・ChatGPT Work・Codex の全プランで提供終了予定です。OpenAI API は対象外です。認証方式と提供面を区別し、保存したモデル設定・管理設定・定期実行の選択を点検します。

  • Codex は ChatGPT の各プラン(Free / Go / Plus / Pro / Business / Edu / Enterprise)に含まれます(Free / Go は限定的)。API キー認証による従量課金も選べます
  • 利用制限は「5 時間ウィンドウあたりのメッセージ数」構造で、超過分はクレジット購入で継続できます。具体値は変動が激しいため公式料金ページ(参考資料)で確認してください
  • 組織管理: ワークスペース設定で Codex Local / cloud の利用可否を制御、requirements.toml による集中ポリシー、Analytics API(利用状況)、Compliance API(ログ・タスクの追跡)が提供されます

代表的なユースケースと向き不向き

公式が想定する用途: PR の事前レビュー(人のレビュー前の回帰検出)、リファクタリング・デッドコード除去、大規模コードベースの理解、コード移行、ドキュメント最新化、脆弱性バックログの修正、クラウドでのデプロイまでの一気通貫などです。

向き不向き(特性として):

  • 向く: ChatGPT を組織契約済みのチーム(追加契約なしで開始可能)、サンドボックス・ネットワーク遮断を既定にしたい組織、AGENTS.md でマルチツール標準化を進めたいチーム、CLI の OSS 性(挙動の検証可能性)を重視する場合
  • 注意が要る: ChatGPT 認証の提供モデルと、API キー・カスタムプロバイダーを設定する場合の選択肢は異なります。2026-10-03 の公式 Models はカスタムプロバイダー/ゲートウェイに Responses API 互換 endpoint を要求し、現行 Codex は wire_api = "chat" と Chat Completions 専用 endpoint に非対応と明記します。Responses のURLがあるだけでは十分でなく、ストリーミングLLM の応答を生成と同時に逐次受信・表示する方式。Agent の体感品質を左右する基本技術。・ツール呼出し・会話継続の互換性も確認します。接続条件は 調査メモ  と公式 Gateway compatibility を参照してください。クラウド実行は GitHub 連携が前提の設計です。個人プランではデータ学習の既定設定の確認が必須です

実務での注意点

アンチパターン

  • 2021 年の「Codex モデル」の知識で語る — 現行のエージェント製品とは別物で、能力・仕組み・提供形態のすべてが異なります。→ 2025 年以降の公式ドキュメントだけを根拠にします
  • クラウドとローカルの権限モデルを同一視する — ローカルはサンドボックスモード × 承認ポリシー、クラウドは 2 フェーズ(セットアップは通信可、Agent フェーズは既定 off・明示有効化可能)と、境界の引き方が違います。→ 面ごとにセキュリティレビューします
  • --yolo での常用 — サンドボックスと承認の両方を外した状態は公式自身が高リスクと明記しています。→ 使い捨てコンテナ内に限定します

チェックリスト

  • 個人プラン利用時、トレーニングデータ設定(オプトアウト)と Codex の環境学習設定を確認したか
  • ネットワークアクセスを有効化する場合、その必要性と範囲を検討したか
  • AGENTS.md の階層構成(グローバル / ルート / サブディレクトリ)がチームの意図どおりか
  • 組織導入で requirements.toml によるモード制限を配布したか
  • クラウド利用時、GitHub Connector の権限範囲を確認したか
  • カスタムプロバイダーはResponses互換endpointを使い、ストリーミング・ツール・会話継続の互換性を確認したか

関連トピック

参考資料

TODO・未確認事項

  • クラウド実行時の MCP 対応可否、コンテナの永続性・キャッシュ仕様は公式ドキュメントで確認できていません(未確認)
  • コマンド単位の許可 / 拒否リスト設定の有無は config リファレンスの精査が必要です(未確認)

変わりやすい項目(定点観測)